コールドケース 第13話「手紙(The Letter)」
米国放送日:2004年1月25日
監督:ティム・ハンター
今回の監督はティム・ハンター。コールドケースでは第36話「マシンガン」、第59話「月」でも監督を務めています。
コールドケースのほかにも「glee/グリー」や「マッドメンでも」でも監督を。そして伝説の青春ドラマ「ビバリーヒルズ高校白書」の記念すべき第1話の監督も務めました。

私の記憶が正しければ、リリー役のキャスリン・モリスが印象的だったエピソードにこの「手紙」をあげていました。(AXN Japanさんのインタビューにて)
簡単なあらすじ
1939年、ヴァージニア州出身のセイディという子持ち女性が殺害される。その65年後、セイディの孫がある手紙を見つける。
そこには「ミルクマンが私をひどい目に遭わせなければ良いのだけど」と書いてあった。
手がかりになるかはわからないが、リリーたちは65年前の事件捜査に動き出す。
今回の事件
1939年8月11日 セイディ・ダグラス事件
ヴァージニア州の実家に娘を預け、出稼ぎに来ていたセイディが黒人娼婦が下宿している宿でレイプされ殺害される。
当時関わっていた人物たち(※ネタバレ含みます)
ネタバレになるのでご注意ください。
ブランチ・デビンズ
セイディの友人。当時26歳。セイディと同じ下宿に寝泊まりしていた娼婦。恋人はキャンディマン。
マンロス・デレイニー(キャンディマン)
ブランチが逮捕された時に保釈金を払った男。ブランチの恋人で後に結婚。
キャンディが大ヒットしビジネスを成功させていた。
ピアース・マクリントック
牛乳配達員。
配達員に黒人を雇ったことにより起きた暴動で顔中やけどを負う。差別主義者で過去に黒人を何度も襲い逮捕歴が山ほどあった。火事により負傷したメンバーで結成された差別主義グループ“ 5th day ”に所属。
現在は亡くなっている。
ネイサン・ジョーンズ(ジョーンジー)
牛乳配達員。ピアースと共に5th dayに所属。
アーリーン
下宿を経営している大家の娘。当時10歳だった。
犯人&犯行
がっつりネタバレになります!!!
差別主義グループ5th dayがセイディを襲うことを決める。彼らが実行する前に恋仲だったジョーンジーがセイディを助けようと一緒にニューヨークに逃げることを提案するが拒否されてしまう。
その後、ピアースをはじめとする5th dayが到着。セイディが襲われる中、失意のジョーンジーがセイディの息の根を止める。
第13話「手紙(The Letter)」の感想



感想にはネタバレがありますのでご注意ください。
レイプ犯であるピアースが亡くなってるのが胸糞
今回は子持ちでお金のために出稼ぎしていたセイディが被害者。夢は娘と暮らすこと。
そのために一生懸命日々を過ごしていたのに、クソみたいな白人至上主義者に目をつけられてしまった。
セイディの息の根を止めたのはジョーンジーなのは変わりないが、レイプ犯で5th dayのリーダー格であるピアースが亡くなってるのが腹立つ。
孫にも「祖父は善良な人間だった」と思わせてるってことは相当幸せな人生を歩んだのではないでしょうか?
結婚もして子供も生まれて、孫にまで恵まれている。これが本当に胸糞悪すぎてムカツク。
セイディは娘と一緒に暮らす夢も奪われ、その娘には「母は娼婦だった」という記録のみで判断され、、
(実際セイディは娼婦だったのか不明ですが、あの宿に泊まってるイコールって解釈で良いんでしょうか?)
今回、セイディの孫であるサラがバリキャリっぽかったので、遺体掘り起しの費用も出してくれて。。



セイディ。お孫さんがご立派になられてること嬉しく思ってるはず。事件も解決してくれたのはサラのおかげ!
ジョーンジー、あんたも結構むごいですよ
今回は黒人と白人の禁断の恋という感じで、私は初めてこのエピソードを見たときまだ若くて、
「切ないな~禁断の恋!」なんて思ってたのですが、自分も年齢を重ねて改めて見てみると、
「現実はそんな甘くないんですわ」という感想を持ってしまいました。
セイディを助けに行ったジョーンジーだけど、セイディの娘の写真を見て気持ちが引いてしまう。。
まずこれだよね。ここ。
セイディは黒人離れしたルックスだったから愛せるけど、娘さんはセイディとかけ離れていた。
「きみはキレイだし遠くから見たら白人だと思われてバレない。けどきみの娘は・・・」
なんてセリフも出ちゃうわけです。
こんなこと言われたら母親であるセイディはショックだし、絶望と共にブチ切れます。セイディの言う通り「それは愛じゃない」んだよね。
ジョーンジーはまだ若くて考えも浅はか。子持ち女性と一緒になることも軽く考えていたのだろうし(むしろ考えてなかったかも)あの禁断の手紙交換で盛り上がってしまっただけなんだよ。きっと。
そう考えるとセイディのほうがやはり大人だったわけです。



ここで娘を捨てて第二の人生を白人と過ごす人もいると思います。でもセイディは愛する娘を選んだ。それなのに人生を奪われてしまって・・・。本当に胸糞悪い事件です。
ジョーンジーも結局心から黒人を愛せるわけではなかったってことだし、
それこそ本当にセイディがニューヨークについて行ったとしてもうまく行かないと思う。
セイディは強気な女性だし、娘を呼び寄せないジョーンジーから離れていくと思う。離れなくても「なぜ娘を呼んでくれない?」と問いかけたらそれこそ暴力とか振るいそうだよねジョーンジー(偏見w)
だって元々は5th day所属の差別主義者でしょ。セイディが黒人離れした綺麗なお顔立ちだったから惚れただけ。としか思えないの。
そして彼女の息の根を止めたのは、レイプされてツライだろうから殺したのか、
もしくは振られたも同然だし、自分の浅はかな気持ちに打ちのめされて殺したのか・・・。



なんかもうジョーンジーにも結局腹立つ自分がいるんですけど!助けたいならガチで逃げれるじゃんよ。身を隠してあげるとかさ。ダメなん?愛があるならもっと本気で行動しろジョーンジーってイライラしちゃった。
今回の癒しはキャンディマン夫妻
今回ヴェラとジェフリーズがあまり出てこない回だったので、癒しが足りないと思いきや。
キャンディマン夫妻がなんとも可愛らしかったですね。そりゃ若い頃はまだブランチとセイディとの間で揺らいでたマンロスだったけど、セイディには全くその気がなかったわけだし。
その後はラブラブで90歳になるまでご健在なのだから。ふたりが喧嘩しちゃうのはとっても可愛いなって思ってしまった。ラストではちゃんと仲直りしてたしね。



でももしここでセイディがキャンディマンとくっついてたら、娘さんと一緒に暮らす願いも叶っていたのだろうなと思うと・・・。
リリーとカイトの行方
ここにきてリリーとカイトの関係が・・・。というか今回の事件が昔すぎてリリーの頼みをカイトが叶えられなかった。
それでちょっとイラっとしちゃうリリーがこれまた恋愛に不器用で可愛らしいんですけどねw
仕事人間すぎてカイトとの会話も恋人同士というよりは仕事で利用できちゃう相手って感じ。
(スコッティとか思いっきりリリー経由でカイト利用してるしねw)
1939年
今回事件が起きたのは1939年。
2004年の時点でみんな80代~90代なわけです。当時10歳だった女の子も75歳になっていました。
1939年はもちろん黒人差別が物凄かった時代。
アメリカという国は歴史目線で見ると、元々インディアンである先住民がいたのにヨーロッパから白人が押し寄せて土地を奪っていった過去があります。
そこに今度は黒人差別。これは現代でも未だに解決されない問題です。
1939年はハリウッドのシンボルでもあるマリリン・モンローがまだ13歳だった時代。
この3年後の16歳で最初の結婚をしていますね。
そう考えると10歳だったアーリーンはマリリンと同世代ってわけか。
この時代ハリウッドではオズの魔法使いのジュディ・ガーランドが活躍していた時代。
彼女もなかなか当時のハリウッドの闇に翻弄された少女でした。
1939年に公開された映画
「スミス、都へ行く」
「オズの魔法使い」
アカデミー賞受賞作品「風と共に去りぬ」
ゲスト出演者
今回の被害者であるセイディを演じたのはメタ・ゴールディング。
1971年11月2日インド出身
メタは黒人離れしたセイディ役でしたが、彼女自身はハイチ系であり子供の頃はアメリカ、インド、ハイチ、イタリア、フランスを転々として育ったそうです。
フィギュアスケーターとしても活躍しており、イタリア代表で出場したこともあったそう。
大学に通うためにアメリカへ戻り、コーネル大学で演劇と国際関係を専攻。
プライベートではメキシコの孤児院で慈善活動をしているそうです。
現在はテレビドラマシリーズの「ラビットホール(2022)」に出演中。
日本でも放送されていた「 Empire 成功の代償 」や「クリミナルマインド」にも出演しています。
1995年にはアメリカのソープオペラ「Loving」に68エピソードに渡って出演。
挿入歌



コールドケースで使用されてる曲をまとめてみました。
オープニング、宿で女性たちがおしゃべりしてるシーン
Julia Lee – Dream Lucky Blues
ジョーンジーとセイディが手紙交換をするシーン
Ella Fitzgerald and Louis Armstrong – Stars Fell on Alabama
5th dayが標的をセイディにすると決めたシーン
Bob Mervan – Devoted to You
ラストシーン使用曲
エラ・フィッツジェラルド – Blue Moon
今回のラストシーンの曲はロレンツ・ハートとリチャード・ロジャースによる1934年の楽曲。
エラ・フィッツジェラルドverです。
この曲は元々ハリウッド映画用に作られたものですが、大人の事情でキャンセルに。その後リリースされ多くのアーティストがカバーしている名曲です。



事件は1939年ですが、ラストシーンは1934年の楽曲を使用。
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今回の一言



若い頃に見るのと、年を重ねてから見るのと、感想が2つに分かれそうなエピソードでした。
次の回、第14話「箱(The Boy in the Box)」の感想はこちら


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